平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
アティーシャが、愛おしげに二人の手を握った。
「でも、アティーシャ。伯爵様は、あなたのことも好きで――」
「私だって、二人が大好きです」
無垢な笑顔で両手を広げたアティーシャを見て、共に妻に、という言葉を婚約者が呑み込んだのが分かった。
魔女は胸が締め付けられた。なんと残酷なのだろう。彼女は神に身も心も捧げた神子。一人を特別に愛することを知らない。
決して、恋をすることはない。
怒り、悔やみ、怨むことだってしない――起こる事実は全て、神が用意してくださったものだと思っているから。
「ここで、お別れです。どうか約束してください。たとえ不慮の事故が起こったとしても、たとえばそれをきっかけに諍いが起こったとしても、決して関わってはなりません」
静かな微笑みを浮かべて、アティーシャが二人にそう言った。
その眼差しは慈しみ温かく、微塵の悲しみも不安もなかった。領主が悲しそうに目を細める。
「未来を、見たのか」
「神子としての、最後の未来視を」
彼女は、幼くも見えるその赤紫色の瞳に、領主と婚約者を映していた。好きな二人の姿を焼き付けるかのように。
「神は、私に『戻ってこい』とおっしゃっているのでしょう。だから、未来を見せてくれた。――私は、争いがもっともここから離れる未来を、選びます」
さよなら、どうかお元気で。
「でも、アティーシャ。伯爵様は、あなたのことも好きで――」
「私だって、二人が大好きです」
無垢な笑顔で両手を広げたアティーシャを見て、共に妻に、という言葉を婚約者が呑み込んだのが分かった。
魔女は胸が締め付けられた。なんと残酷なのだろう。彼女は神に身も心も捧げた神子。一人を特別に愛することを知らない。
決して、恋をすることはない。
怒り、悔やみ、怨むことだってしない――起こる事実は全て、神が用意してくださったものだと思っているから。
「ここで、お別れです。どうか約束してください。たとえ不慮の事故が起こったとしても、たとえばそれをきっかけに諍いが起こったとしても、決して関わってはなりません」
静かな微笑みを浮かべて、アティーシャが二人にそう言った。
その眼差しは慈しみ温かく、微塵の悲しみも不安もなかった。領主が悲しそうに目を細める。
「未来を、見たのか」
「神子としての、最後の未来視を」
彼女は、幼くも見えるその赤紫色の瞳に、領主と婚約者を映していた。好きな二人の姿を焼き付けるかのように。
「神は、私に『戻ってこい』とおっしゃっているのでしょう。だから、未来を見せてくれた。――私は、争いがもっともここから離れる未来を、選びます」
さよなら、どうかお元気で。