平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
アティーシャが、二人から手を離した。

迎えに来た王家の馬車が出て、婚約者は領主の腕の中で泣き崩れた。領主は胸を痛めた表情で、静かな涙を流していた。

「……君に好きだと、愛していると伝えたかったのに」

抱き合い泣く姿を、魔女は見ていられず箒で飛び去った。



もし、あそこで私が手を取っていたら、未来は変わっていた?

魔女は、今も当時を悪夢として見た。

反魔女大隊を前に敗れ、魔女狩りの残党に邪魔され、最後に王都への襲撃をもくろんだ時も、神子の王妃に予言されて返り討ちに遭った。目的も半ば曖昧になって数百年も眠った。

けれど数年前、ハッと目が覚めた。

幸運の娘の気配を察知した。慌てて見に行くと、まるでそうなって欲しいと望んでいたように笑い、怒ったり泣いたりしながら生きるリズ・エルマーがいた。

「ははっ……」

あの子によく似たその姿を見て、涙ごと何かが流れていくのを感じた。

初めて、神に感謝した。いつか見たいと思っていた娘の風景が、そこに存在しているみたいだった。

魔女は、それから飽きずにリズを眺めていた。

学校の発表会で、パニックになって涙目で騒ぎを起こした姿に笑った。農場で農具を吹き飛ばし、近くにいた『エディおじさん』という人間たちを驚かせて、怒られるのを見て、また笑い。

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