平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「それなのに、なんてざまだっ」

焦燥で身が焦げそうだった。この隙に、魔女がリズを遠くへ連れて行かない保証はない。もうこの魔法とやらの中に、彼女はいないのではないのか?

その時、声が聞こえて彼は身を強張らせた。

「身体が動かないのは、精霊魔力に耐性がないからよ。ここはね、魔法で作られた、精霊世界の模倣版みたいなものなの」

誰かが、いる。

直前まで、気配さえ全く感じなかった。警戒して目を上げてみると、そこには十五歳にもいかないような少女が立っていた。

ジェドは、その少女を目に留めた瞬間、ゆるゆると目を見開いた。

「君は……?」

リズに、とても良く似ていて驚いた。

スカートの半分までを隠す、波打つ長い春色の髪。大きな瞳は、幼いのにどこか神秘的で大人びても見える。

「私は、アティーシャ」

彼女が後ろに両手をやって、ジェドを覗き込み微笑みかけてきた。

これは幻なのか?

一千年前に死んだはずの少女が、今、ジェドの目の前にいる。いったい何がどうなっているのか分からない。

けれど同時に、ジェドは落胆してしまった。どうしてこんな時に、リズの幻は出てきてくれないんだろう。

幻でもいいから、たった一言、『ジェド』と名前を呼んでくれるだけで、自分はいくらでもパワーが出るのに。

「弱ってるの?」

「そうだ。情けないだろう」

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