平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
《俺にも見えないが、恐らくはそれが魔法の中心だ》

「もしかしてカルロ、俺に何か言ってる?」

またしても獣の勘的なもので察知したらしい。シモンに顔を向けられたリズは、驚きつつ伝えた。

「オッケー。じゃあ、あれを壊せばいいわけだね。お姉さんはドレスだし、ここで待ってて」

「えっ、どうする気?」

「とりあえず全力で蹴ってみる!」

「ええぇ――っ!」

ためらいもなくシモンが、ぐんっとスピードを上げて行ってしまった。

絶対に追い付けそうにない。リズはやや速力も落とし、呆けてしまう。彼には驚かされっぱなしだ。

「あ、あの子……蹴るって大丈夫なのかしら?」

《確かに、緊張感を忘れたら生き物はだめだな、と思う典型的なアレかもしれない》

「カルロったら、普段そんなこと思ってたのっ?」

んもう!とリズは「めっ」と叱ってしまった。

カルロもエリーも、シモンに任せる方向でリズに速度を合わせていた。彼らは成獣、つまりは〝大人〟なので、シモンの言う『薔薇』は見えていないみたいだ。

《だってそうだろう。生きるには必要な本能だ》

「そ、そうかもしれないけど、団長様より突っ込んで言うものだから」

うろたえたリズに、カルロがフッと口元を引き上げる。どこか楽しんでいるのに気づくと同時に、ジェドのことも思い出した。

少し前まで、カルロの上で抱き締めてくれていたのに、今はそばにいない。

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