平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
つまり形だけなのだ。だから彼は『勝利しろ』とは言わず、『蹴散らせ』という言い方をしたのかもしれない。

そんなことを考えている間にも、展望台の最上階が見えてきた。

「団長! 黒い獣、全二十三頭の消失を確認しました!」

下の方から、追いかけてきたトナーたちが叫ぶ。

「よくやった。だが警戒は怠るな」

「了解!」

「警戒編成をもたち、団長、副団長に続け!」

「第三班、第四班は騎獣姿勢を解くなよっ」

「分かってるって!」

そんな声が飛び交うのを聞きながら、リズとジェドを乗せたカルロが、一番に展望台の屋根を支える支柱に到達した。

円形状の広い空間には、見たこともない文字と文様が黒く描かれていた。その中心に、氷でできたような青い薔薇の像が浮かんでいる。

そして、そこにただ一人立って振り返ってきたのは――魔女だ。

「ああ、やっぱり来たね。〝幸運の娘〟に、魔法は完全にきかないから」

魔女がピンクの目を細めた。

まるで仮面みたいだとリズは思った。けれど感想も束の間、ジェドは声からも本人であることを確認した瞬間、迷わず叫ぶ。

「カルロ!」

「ヴォン!」

リズが驚いている間にも、カルロが展望台の広間に突っ込んだ。

荒ぶる獣のように突入した彼へ、魔女が雷撃のような光を打ち放ったが、カルロは一瞬にして避ける。

バリリリッと走った稲妻に、リズは短い悲鳴を上げた。

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