平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
刃の鋭利な輝きを前に、リズは内臓が一気に冷えた。

「ならば、容赦はしない。国を脅かし、陛下らにも危害を加えた罪で、薔薇の会のジェド・グレイソン伯爵の権限の元、そして獣騎士団長としてお前の処刑を執行する」

つまり、その場での死刑。

そう告げるのを聞いた瞬間、リズは咄嗟にジェドが構えた腕にしがみついた。

「待って団長様! だめ!」

「リズッ、あぶないから手を」

「殺すなんてだめです。魔女から、どこか悲しそうなものを感じたんです。誰を怨んでいいのか、何に怒りをぶつけていいのか分からないみたいに」

「しかし、今の王都の状況は深刻だ。俺たちは、救わなければならないんだ」

コーマックや獣騎士たちも何やら言ってきた。ただ一人、シモンが「やめなよ!」と味方して一気に騒がしくなる。

救う? それなら、魔法を壊せばいい。

それなのに、彼女が〝魔女〟だからその場で処刑するのか?

「待って、待ってください。話を聞く必要があると思います」

リズは必死に言った。

「まだ誰も死んでいません。だって彼女は一人の母親で、もしかしたら、魔女だって」

「リズ。手を離してくれ、頼む。危険な存在なんだ」

切なげにジェドが見つめてくる。リズが傷ついた表情をしたのを見て、ハッと言葉を切った。

「……魔女よりも少ない幸運の娘も、危険な存在だと思いますか?」

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