平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
先日、ベン=ドラッド村で会った亡霊と同じだ。彼女もまた、心に傷を負っている。
けれど彼女は、今の今まで生き続けた。話を聞いてから、リズは彼女が復讐する時代と人を失い、自滅するようにがむしゃらなようにも見えた。
「――人だったあたしにできることなんて、王都一つを消すのでせいいっぱいだ。ようやく死ぬかわりに、道連れにしてやろうと思った」
展望台の屋根を、しばし見つめていた魔女がぽつりと言った。
「分かってる。あんたは、あたしの娘じゃない。それなのによく似ていて、嫌でも重ねちまうんだよ。この国でたった一人の幸運の娘であるあんたを、あたしは……助けたいと願っちまったのさ」
同じ運命を、辿らせないために。
魔女のくぐもった声がした。顔を手で覆った彼女が、くしゃりと泣きそうな表情をしたのが分かった。
「あの子は、あたしのことを母だと分かっていながら『親切な魔女さん』と呼んだ。あの子にガルガロスと呼ばれた白獣の戦士は、悪霊になり果てるほどに悔いた。でも……一番悔いたのは、あたしなんだよ」
震える切実な声に、リズも涙腺が緩んだ。
「愛していたんだ。自分でミルクもやって、おしめを替えて、あの子を自分の手で育てたかった。あの時に手を伸ばしていたら運命は変えられたんじゃないかって、あたしは何度も後悔した」
「魔女さん……」