平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「……きっと、あの子は怨んでいるだろうね。なんて母親だ、と」

コーマックたちも相棒獣たちも、神妙な顔で黙り込む。

全てを見ていた。けれど自分の選んだ道を進んだアティーシャを、彼女は止めずにその最期までを見届けた。

それを『悪い』と責めることなんてできない。娘の意思を尊重し、歯を食いしばってアティーシャの望んだ未来を見届けた彼女の強さには、畏敬の念すら覚えた。

さすがのシモンも、いつもの調子のいい言葉さえ出てこないようだ。

その時、場に柔らかな声が上がった。

「きっとそんなこと、ちっとも考えなかったと思います」

リズは悲しげな顔に笑みを浮かべて、真っすぐ魔女に言った。

「笑って『親切な魔女さん』と呼んでいたのなら、それが彼女の答えだったんじゃないでしょうか。アティーシャさんは、会いに来てくれただけで、ただただ嬉しかったんじゃないかな、て思うんです」

唐突に目の前に現われれた魔女を見た時、彼女は、とても嬉しく思ったのではないだろうかとリズは思うのだ。

会うことはないだろうと思っていた母親と、会えて、言葉を交わした。そしてたくさんの言葉を交わし続け、それは死を迎える時まで続いた。

魔女が、リズを見つめたまま切なげに目を細めた。

「――カルロ、離してやれ」

ジェドが許可し、カルロが顰め面のまま足をどける。

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