平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
ドキッとした。それは婚約指輪をつけた時、彼に言われたことだった。

この先の人生、あらゆるリズの全部を引き受ける、と。だから安心してお嫁においでと言われて、そして約束の口付けを交わした。

「少しくらい、我がままにねだられたら俺は嬉しんだけどな。買う物だって、リズならいつだってねだってくれていいのに」

痛くない程度に抱き締められ、彼の吐息が首に触れて鼓動が速まる。 

これまで、なかなか素直に甘えることができないでいた。町をデートがてら歩いた時だって、髪留め一つだったねだれなかった。

だからだろう。あの時は小さく息をついて何も言わないでくれていたけれど、ジェドが、今度は逃がさないと言うように腕に力を込める。

「リズ、俺が買う。いいね?」

「は、はい」

強引だけれど、優しい声に押し負けた。すでに妻のような扱いにリズが赤面していると、ジェドが溜息をこらえてシモンの期待の眼差しに応えた。

「というわけだ、買ってやる」

「やったね!」

「言っておくが、お前のはカルロのついでだ」

「分かってるって!」

はしゃぐなと視線でも伝えられても、シモンは先頭に立って楽しそうに例の屋台を探しにかかった。

優しい人だ。ジェドに支えられたリズは、こっそり自分からも彼へ寄り添った。そのそばを、カルロが歩調を合わせて続く。

歩き出して数分もしないうちに屋台は見付かった。

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