平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「ほらっ、あれ!」

シモンが、そちらを指差して得意気な顔をする。

「野生の狼みたいな奴だな」

ジェドが「少し待ってろ」と言って、肉の串を焼いている店主に声をかけた。自分と合わせて、四本を注文する。

「ほら、お前のだ」

「やったね!」

早速シモンが受け取って、口に頬張った。

礼よりも先に食べたのを見て、ジェドがまた何か言いたげにした。しかし、それは店主が悪意なく振った言葉に遮られる。

「元気な息子さんですな」

微笑ましげな彼に対して、リズは「え」と固まった。戦闘獣用にと焼いてもらえた肉を、カルロも味わうのも忘れてごっくんと飲み込む。

ジェドの周りの空気が、一気に下がっていた。気づかず上機嫌に肉を食べるシモンのかたわら、彼がゆっくりと店主を振り返る。

「こんなに大きな息子はいねぇよ。俺はまだ二十八だ」

普段の猫も被るのも忘れ、ジェドが低い声で言い放った。

帰るまでには機嫌も戻るだろう――と思っていたのだが、そのリズとカルロの予想は裏切られることになる。



◆§◆§◆



「――で、なんでお前がいるんだ」

屋敷に戻って早々、応接室にいた客人を前にジェドの機嫌が氷点下になった。

そこには、幼獣を抱っこした十一歳のニコラスがいた。

「おぉっ! 大親友よ! 会いたかったぞ!」

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