平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
鏡の中で、女が笑う。

「そしてあたしが、正真正銘の【魔女】さ」

聞いているだけで魅了されそうな若い女性の声。

だがリズは、ゆっくりと頭を振ってもう一つの驚きを口にする。

「あなた、この前の占い師さん……? そうなんでしょう?」

間違いない。聞いた声を繰り返し頭の中で再生して確信したところで、〝魔女〟の口元が妖艶に引き上がる。

「やっぱり、分かっちまうんだね。あの時もこうして顔も隠して、念のため〝姿も変えていた〟というのに」

姿を変えていた?

そうは思えなかった。リズには、目の前の彼女と〝全く同じ人〟に見える。

「時間がないから手短に話すよ。結婚なんて、おやめ」

「なっ。いきなり、どうしてっ」

突然、そんなことを言われて驚く。思わず立ち上がったリズへ、魔女がなだめるように手を動かしながら言う。

「善意で警告してあげているんだよ」

警告、という言葉に動揺した。

彼女は本物の魔女。すると先日の『結婚には慎重に』という言葉は、本当にあたる占いだったりするのか?

「やめた方がいいというのは、結婚をするなということですか? それは……特別な領主様である彼の妻に、わ、私が相応しくないから?」

それは、何度も思っていたことだった。

リズは庶民で、そして獣騎士団員という肩書きの方は平凡だ。花嫁にすることを反対している者もいるのではないか……と想像したりした。

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