平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
ややあってから、ようやく一人がそうつぶやきを上げた。

「それくらい本気の悩みでもあんのかね」

「やっぱ結婚前だし、緊張もあるんだろうさ」

途端に納得した空気が広がり、獣騎士たちがうんうんとうなずき合う。その様子を離れて眺めていたシモンが、腑に落ちない顔で首を捻った。

その時、コーマックがハッとして立ち上がった。

「領主夫人になるのに、一人になんてさせたらまずい――って、何をするんですか君たちは!」

駆け出して数歩、部下たちがコーマックに飛びかかり、体を張って引き留めた。

「まぁまぁ、副団長、こういう時はそっとしておくのがいいんですって」

「結婚前の女の子ですし、女心を考えてあげないと」

「ここでリズちゃんが『やっぱり結婚しない!』てなったら、団長が、泣く」

「女の子は繊細ですからねー。それに女子の恋占いを覗くなんて、イケメンでも許されないっスよ」

「普段からリズさんを平気で胴上げする君らに、言われたくないなあ!」

コーマックは珍しくブチ切れた。

実のところ、接近戦においてもジェドの次の実力派である彼は、あっという間に部下たちを床に沈めた。

カオスな状況を、相棒獣たちがなんだなんだと庭から覗き込んでいる。

両手に顎を乗せて眺めていたシモンが、唐突に窓から降りた。倒れた獣騎士の胸倉を持ち上げたコーマックが、「あっ」と目を向ける。

「どこに行くんですか」
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