オスの家政夫、拾いました。2.掃除のヤンキー編
佐藤くんは彩響の話をじっくり聞いて、頷いて、最終的に目頭を濡らした。しばらくメソメソしていた彼が、いきなり彩響の手をぎゅっと握った。


「峯野主任、やっぱこのまま行ってしまうのは耐えらないっす…!!もう一回考え直していただけませんか?!」

「え?いや、もう退社の手続きは終わっていて…」

「構いません!もう一回社長と相談して…!」

「…おい、その手今すぐ離せよ」


突然の背後からの声に、佐藤くんが慌てて手を離す。彩響が振り向くと、そこにはご機嫌斜めの成が立っていた。成のことを思い出した佐藤くんが「あ!」と声を出した。


「しゅ、主任の彼氏さん!あの時USB運んでくれた方!」

「ち、違う…のではなく、あってます」

「やっぱりー!!!」


ついクセで否定しまったけど、更に機嫌が悪くなった成の表情を見て、彩響は急いで言い直した。成が彩響の肩に手を回し、見せつけるように言った。


「そうだ、俺の彼女ですが、俺の彼女になにか御用ですか?」

「す、すんませんでした!!そんな下心があったわけじゃないんす、許してください!!」

「成…脅かさないで。怖がってるよ」

「べつに、なにも脅かしてないだろう。あんたは賢いのに、なんでこういう場面ではスキだらけなんだよ。もう少し警戒しろよ」

「佐藤くんは後輩です。誰も彼もそんな目で見ないでください」


二人の会話を聞いていた佐藤くんが、二人をキョロキョロ見る。そしてなぜか、今回は満面の笑みで成の手をぎゅっと握った。慌てる成に佐藤くんが言う。


「恋人になれたんですね!いや〜よかったす!俺、マジうれしっす!!」

「え?あ、まあ…」

「本当に良かったです!主任、いい人なので、本当ラッキーだと思ってください!主任、俺また連絡します。ーじゃ!」


その言葉だけを残して、佐藤くんは自分が来た方向へまた走って行ってしまった。まるで嵐が通ったよな感覚で、ぽかんとしていた成がぷっと笑い出した。あれだけイライラしていたのに、一気に気分が変わる成を見て彩響が一言言う。


「なによ、あれだけイライラしていたのに」

「いや、確かに最初はムカッとしたけど、彩響がいい人って分かってる時点で、きっとあいつも良いやつなんだろうな」

「なにそれ、それがいい人かそうじゃないかを選ぶ基準?」

「だって、彩響は間違いなくいい人だから。あ、でも連絡は程々にしておけよ」
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