冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
新聞やニュースは逐一チェックしている。その度に、本郷グループの社長交代などの話題がでていないかひやひやはしているが、目にしないところをみると、きっと今も匠馬が社長を務めているのだろう。もしかすると、若林と結婚したのかもしれない。
「あのさ、澪。その……」
「なに?」
さっきにも増して、もじもじしている。
「トイレ? それならどうぞ」
「違う! 俺が言いたいのは……!」
ムキになって否定するから、思わずのけ反った。
(どうしたというんだろう。らしくない)
変な緊張感が漂っていて、こっちまで伝染してしまいそうだった。
「やっぱいい。出直す」
「う、うん。わかった」
諦めたのか、保はくしゃっと頭を掻くと玄関を出て行った。
「変な保」
ぼんやりとその背中を見送っていると、ふと玄関に置きっぱなしのグローブに目が留まった。
「あ、これ保の」
今から練習だと言っていたのに、これがないと始まらないだろうに。澪は玄関を飛び出すと、大きなお腹を抱え保の後を追った。