冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
保はなぜか威嚇モードで、匠馬を下から睨んでいる。
「あの、どちらさま?」
そして低い声で保が匠馬に詰め寄ると、匠馬は名刺を取り出し、スッと保に差し出した。
「本郷ぐる……え? 社長さん?」
「澪とは以前一緒に働いていました」
「澪、まさかお前……」
保が背後にいる澪に視線を向ける。だが澪は匠馬の突然の登場に焦っていた。バレてはいけない、バレてはいけない。そればかりが頭を占領していた。だからつい口走った。
「この人の子どもなんです」
「え?」
匠馬が血の気が引いたように愕然としている。保はキョトンと、目を丸くしていた。
「本当か?」
「本当です」
そして保をキッと鋭い目つきで見た。
「君がお腹の子の父親?」
「あ、いや、その……」
いきなり渦中の人間にされ、保つはしどろもどろになっていた。澪はそんな保の背中でごめんと謝り、話を合わせてくれるのを願っていた。
(お願いお願い、早く帰って)
「澪、きちんと話がしたい」
「話すことはありません」
「頼む、少しでいい」
「無理です」