冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「それでしたら、だいたい8か月から臨月くらいでしょうか。股関節が痛んで、歩きづらくなります。個人差もありますが」
「そうか」
一花は冷静に努めているつもりだが、目が完全に挙動不審になっている。まさかこんな質問を匠馬にされるとは思ってもいなかったのだ。
「それともう一つ質問いいか」
「はい」
匠馬は僅かな希望を探し出したくて必死だった。
「神谷が退職する前、何か変わった様子はなかったか?」
「変わった様子、ですか」
一花は記憶を巡らせている様子だった。匠馬はそれを懇願するような目で見ている。
「あ、そういえば神谷さんにしては珍しく取り乱したことが一度ありました」
「それはいつだ」
矢継ぎ早に言えば、一花が「確か」と話し始めた。