冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
そもそも始まってもいなかったわけだ。一夜の過ちでできてしまっただけ。それで責任を取れと言うのは、お門違いも甚だしい。
「ごめんね、心配ばかりかけて」
「ううん。私はいつでも澪の味方だから、何でも話して」
言いながら、優しく背中を撫でてくれた。
温かい。そして強さを感じる。自分も光江のような優しくて強い母親になりたい。
――澪は改めて思っていた。
それからも、ちょくちょく黒の車の目撃情報が相次いだ。それは早朝だったり夜中だったり。匠馬は時間をぬっては澪に会いに来ていたようだった。そんな変な時間に来るのは、きっと妊婦の澪が活動するような時間には来られないからだろう。
澪が匠馬についていたときから、匠馬は目の回るような忙しいスケジュールをこなしていた。寝る間も惜しんで働いていた。
こんなこといつまで続ける気だろうと、澪は会えない匠馬を思い浮かべながら、密かに心配していた。