冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
出産予定日10日前のこと。
この日は秋雨前線の停滞により、大雨だった。町には避難警報が出ていて、澪たちも家の裏が山ということもあり、避難した方がいいのではないかと光江と相談していた。
「夜中に移動はできないし。今のうちに行っておいた方がいいわよね」
「そうだね」
時刻は午後18時。光江と澪はバッグに荷物を詰め近くの体育館へ行く決意をした。
荷物を詰め込むと、バッグ片手に家を後にする。外は風と雨がひどく、臨月の妊婦が歩いていくのにはかなりつらい状況だった。傘も全く役に立たない。こんな時車があったら。しかも心なしかお腹が痛む。
「澪、大丈夫?」
「う、うん……あれ?」
少し歩いたところで、澪は下腹部に違和感を覚えた。パシャンと、はじけるような感覚の後、洋服が湿り始めたのだ。
「どうしたの?」
「破水したかも」
「え! どうしよう。救急車? いや、タクシー?」
光江が澪を支えながらおろおろしている。しかも、お腹の痛みがどんどん強くなっていく。澪は立っているのがやっとだった。
「澪、しっかり!」
光江が携帯を片耳に当てたまま、必死に励ます。