冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
◇◇◇
そんなある時、澪は匠馬に会社に来るよう呼び出された。匠馬の会社に行くのは、退職して以来。
澪は抱っこ紐をつけ、会社に向かった。一体何があるのかは聞かされていない。
久しぶり訪れた匠馬の会社はあの時と変わっておらず、澪は社長室に行く前に、挨拶をしに手土産を持って秘書課に挨拶に訪れていた。一番に気づいたのは一花だった。
「え! 嘘! 神谷さん!?」
「赤羽さん、ご無沙汰しております。その節はお世話になりました」
「堅いのは相変わらずだけど、幸せオーラばしばし出てるんですけどー!」
一花のテンションの高さに澪は、へへっと笑う。
「社長と結婚したんでしょ? 本当にびっくりしたんだから。しかも赤ちゃん!」
一花が抱っこ紐の中を覗き込む。パッチリ目が合ったらしく一花は「かわいいー!!」と絶叫していた。
「で、今日はどうしたの?」
「たく……いえ、社長に呼ばれまして」
「そうなんだ。そういえば来客だったような」
(来客? 誰だろう)
「よかったら赤ちゃん預かろうか?」