冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「澪、おいで」
それを察し、匠馬が澪をぎゅっと抱きすくめた。
「た、匠馬さんっ、ここ会社」
「澪が俺の秘書のとき、ここでお前を抱き寄せたい気持ちとずっと戦ってたこと、知ってたか?」
そんなことを引っ張り出されたら、ますます顔が熱くなる。
それに、それは澪だって同じ。ここで匠馬に抱きしめてもらいたいと思ったことは数えきれない。
焦れて、愛しんだ葛藤が懐かしい。すると匠馬の顔が徐々に近づいてくるのがわかった。
「だ、ダメですよ」
「少しくらいいだろ。澪がここにいるのが嬉しんだ」
「う、んっ……」
強引に口付けられ、匠馬の腕の中であたふたする。
隣に美雨もいるのに、なんだかひどく不埒で、イケないことをしているという背徳感が、さらに二人の興奮を煽る。
「澪もまんざらじゃなさそうじゃないか」
二ヤリとされ、恥ずかしくなった。澪だって匠馬に触れられたいし、触れたいと思う。
なにせ、匠馬とは結局あの一度きりしか抱き合っていないのだ。