冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


産後も「澪を傷つけた罰」と言って、求めてこなかった。自分に罰を課しているのだとか。澪に少しだけ触れ、気持ちよくさせたら、自分の欲を吐き出さず、耐える様に眠っていた。

澪にとってもある意味拷問だったが、最後までしてほしいと告げるのは、控え目な澪にはハードルが高すぎた。

「もう少しいいか?」
「はい」

キスは一日何度もする。でもキス止まり。

(今日はもっとしたいな)

そんなことを考えながら再び目を閉じた時、隣から美雨の泣き声が聞こえてきた。

「あ、美雨が泣いてる」
「なに? 隣にいるか」

匠馬の目の色が変わった。どうやら美雨に会いたいようだ。

「預け先がないので。赤羽さんが見てくれてます」
「そうか」

すると匠馬が澪の額にこつんと額をぶつけた。そして言いずらそうに切り出した。

「そろそろ……罰も終わりでいいか?」
「え?」
「澪を抱きたい。限界だ」

切なげに言われ、ドキッと心臓が跳ねた。こんな苦しそうな口調の匠馬を、今まで見たことがない。目の奥は、うつろ気に揺れている。

こんな顔を自分がさせているのかと思うと、余計にキュンとした。

「私だって……同じ気持ちです」

そう言うと、匠馬は顔をほころばせ、嬉しそうに澪の髪を撫でた。

「今日は早く帰る」

澪の心臓は壊れそうなほど高鳴っていた。自分の夫にこれほどまでときめく妻がいるだろうか。

澪は自嘲気味に笑うと「はい」と大きく頷いた。



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