冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


連れてこられたのは、匠馬の自宅だった。都内一等地にある高級マンションで、しかも最上階ときたものだから、澪は恐縮と感激が入り混じったような、そんな気持ちになっていた。人間いくら落ち込んでいても、こういう感情は働くらしい。

「ほら、よく拭け。風邪ひくぞ」

匠馬からバスタオルを渡され、頭からかぶる。

(いい香り。それにふかふか)
「シャワーも使っていいから」
「で、でも……」
「遠慮は無用だ。お前に風邪をひかれたほうが困る」

確かに澪が休んだら匠馬は困るだろう。最初はああいいっていたが、なんだかんだ澪に任せる仕事が最近は増えていた。

「あの、ありがとうございます。なにからなにまで」
「どうして泣いていた。あの男は誰だ」
「あのそれは……」

やっぱり話しているところから見られていたらしい。言いたくない。いや、言えない。きっとバカだって思われる。


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