冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
「それとも、まだあの男が好きか?」
そう問われ、頷くことも首を振ることもできなかった。結局そういうことだ。澪はただ焦っていただで、好きかどうかもわからない。
相手のことをとよく知ろうともせず、楽な方に逃げようとした。その結果がこれ。自業自得としかいいようがない。一刻も早く忘れたい。
「……社長」
澪はぎゅっと、匠馬のシャツを握った。
「忘れたいです」
なにもかも委ねて、忘れよう。だって他に忘れ方を知らないのだから。
匠馬は「わかった」と言うと、澪を抱えたまま寝室へと入っていた。
中はキングサイズのベッドがあって、それでも広々としていた。それを見ただけで、息が止まりそうになった。
「あの、社長」
「なんだ」
匠馬は澪をベッドに組み敷くと、焦れたようにネクタイをむしり取る。その滴る色気に溺れてしまいそうで、澪は直視できなかった。