冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


「それとも、まだあの男が好きか?」

そう問われ、頷くことも首を振ることもできなかった。結局そういうことだ。澪はただ焦っていただで、好きかどうかもわからない。

相手のことをとよく知ろうともせず、楽な方に逃げようとした。その結果がこれ。自業自得としかいいようがない。一刻も早く忘れたい。

「……社長」

澪はぎゅっと、匠馬のシャツを握った。

「忘れたいです」

なにもかも委ねて、忘れよう。だって他に忘れ方を知らないのだから。

匠馬は「わかった」と言うと、澪を抱えたまま寝室へと入っていた。

中はキングサイズのベッドがあって、それでも広々としていた。それを見ただけで、息が止まりそうになった。

「あの、社長」
「なんだ」

匠馬は澪をベッドに組み敷くと、焦れたようにネクタイをむしり取る。その滴る色気に溺れてしまいそうで、澪は直視できなかった。


< 31 / 158 >

この作品をシェア

pagetop