冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
1週間後。
澪は匠馬と一緒に県外のホテルへと視察にいく予定となっていた。
資料やタブレットなど必要なものを秘書室で用意する。体調はというと相変わらずで、どんなに寝ても眠く、むしろどんどん悪くなる一方だった。
するとそこに、慌てた様子で一花が入ってきた。
「あー、最悪だ。こんなときに限って」
そしてバッグを漁っている。どうやら何かを探しているようだ。
「しかもないし……はぁ」
「あの、どうかされましたか?」
目の前で嘆く一花に、澪は声をかけた。
「あ、神谷さん。悪いんだけどさ」
そして口元に手を添え、コソっと言った。
「アレ持ってない? ナプキン」
そう言われ、納得した。だから焦っていたのかと。澪はポーチからそれを出すと、どうぞと一花に渡した。
「ごめんねー、いい大人がこんなの借りちゃって」
「いえ、お互い様ですから」
「今度返すね」
ぺろっと舌を出すと、一花は駆けて行った。
一花は今日から二泊三日で出張の予定。そんなときに始まってしまうなんて、ついてないと思っているだろう。