冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
女とは本当に大変だと思いながら、ふとデスクの上のカレンダーを見た。
(そういえば私はいつだったっけ。そろそろ……)
前回の記憶をたどる。でも全然思い出せなかった。
(あれ……?)
いつも規則正しくきていたのに、少し遅れているような気がしてきた。途端に澪の顔に不安が影が走る。
(まさかね、だってたった一度きりだし)
だけどもしそうだったら? 途端に怖くなり、目の前が真っ白になった。カレンダーを持つ手が僅かに震えている。もし妊娠していたら、匠馬しかいない。
「神谷さん? 時間大丈夫? そろそろ出た方が」
「あ……本当だ。ありがとうございます」
別の秘書に声をかけられ、澪は慌ててカレンダーをデスクに置いた。
(ないない。そんなことあるはずない。忙しかったから少し遅れているだけだ)
そう言い聞かせ、澪は秘書室を出た。