冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
「金じゃねぇんだよ。人の命の話をしてんだ!」


俺がジャケットの内ポケットから着手金の入った封筒を出して押しつけると、社長は顔をひきつらせた。


「あぁ、私としたことが。失礼しました。今後は社会があなた方を監視するでしょう。もちろん私も、なにかあれば動きます。ほかにもお手伝いが必要な従業員がたくさんいそうですね。それでは」


俺は軽く会釈をしてその場を離れた。


裁判所の玄関まで行くと、馬場さんの見送りを頼んでおいた九条が壁にもたれかかって俺を待っていた。


「お見事」
「どうも」
「辞任までシナリオ通りだったとはね」
「気づいてたくせして」


コイツは食えない男だ。
相談を持ちかけたときから、おそらく全部わかっていたはずだ。


「親父さん、息子が立派になって喜んでるだろうな」
「俺を立派だと認めたんだな」
「俺は認めてない」


九条はそう言ってかすかに笑うが、俺はコイツを認めている。
もちろん言わないが。
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