冷徹弁護士の独占欲にママとベビーは抗えない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
訴訟の途中で代理人を辞められるなんて知らなかったし。

彬さんは最初から辞任すると決めていたんだろうと思ったら、彼があの訴訟を引き受けた理由がようやく納得できた。


普通はありえない法廷での彬さんの言動には賛否両論あった。

しかし私に付きまとったゴシップ誌が〝妻が信じる弁護士は弱い労働者の味方だった〟と手のひらを返すような記事を掲載し、彼の行動を絶賛。

世論は概(おおむ)ね、彬さんに好意的なようだ。



今日は、櫂を連れて彬さんの両親の墓参りにやってきた。

櫂の顔を見せに来たのは初めてだ。


「親父、お袋。息子の櫂。すくすく育ってる。天国から見守っていてくれ」


彬さんは、私が抱く櫂を両親に紹介している。


「俺、七緒と櫂と一緒に、前を向いて歩いていくよ」


私の肩を引き寄せて宣言する彬さんは、実にすがすがしい顔をしていた。

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