【完】華道家の若旦那は、ウブな彼女を離したくない。
***
部屋から出ると電車に乗って華道展に向かう。
会場に近づくにつれ人が多い。私は会場の入り口でチケットを見せると会場に入った。
「綺麗……素敵……」
会場に入ると、花山院流の生徒やお弟子さまの生花が並んでいる。その中でもキラキラ輝いて見えるのは次期家元の作品だ。
「小妻さん、いらっしゃいませ」
「あっ、千賀さん。また来ちゃいました」
前から来たのは和服をしっかりと着こなす男性・千賀 貴敬さんだ。
「嬉しいですよ、とても」
「ありがとうございます……」