陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
 結局のところ、あたしも陽呂くんに負けず劣らず嫉妬深いし独占欲が強いのかもしれない。

 そんな気持ちに気づかされたひと試合。

 そのひと試合も、もうすぐ終わる。


 10対10となって、先に2点差取った方が勝ち。

 颯くんが点を取って、陽呂くんが点を取って。

 抜いたり抜かされたりを繰り返して13対14。

 陽呂くんがあと一点取れば勝ちというとき。


 ついに決着が付いた。



 みんながハラハラと見守る中ラリーが続く。

 そして一瞬のスキをついて颯くんがスマッシュを打ち、また同点かと思われたけど――。

「っく、このっ!」

 陽呂くんが反応して打ち返した。

 球はしっかりと相手コートにバウンドした音を立てて飛んでいき、そして颯くんは間に合わなかった。


 シンと静まり返る場にココン……と球が落ちる音がする。

 次の瞬間、一気に湧いた。


「ぅおおおぉぉ!」

「やった! 陰ヒロ勝っちゃったよ⁉︎」

「まじかよー!」


 そんな中あたしはちょっと焦っていた。

 陽呂くん、最後ちょっと力加減間違えた?

 みんなは気にしていないけれど、最後に打ち付けた球がへこんでいた。


 だ、大丈夫だよね?

 あれくらいなら普通に打っててもたまにある程度だろうし……たぶん。
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