冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
軽蔑…?
「軽蔑なんてするわけないじゃないですか。…ただ、なんていうか、どうやらわたしは子供を宿せない欠陥品のようなので、わたしとはさっさと離婚して瑠璃子さんと一緒になったほうが、」
「…バカを言うんじゃないっ…!」
わたし、最高に可愛くない。
こんなに仁さんを困らせて、苦しませて。
でも、困って欲しいの。苦しんで欲しいの。
今はただわたしだけの為に。
ぼんやりとするばかりのわたしの上半身を力強く起こしそのまま仁さんに抱きしめられた。
「…あの子は私の子ではないっ」
「…どうしてそう言い切れるんです?」
「言い切れるんだ。…言い切れるんだよ」
「…仁さん?」
ここに来て初めて仁さんの様子がおかしい事に気付いて、顔を見上げる。
確信めいた言葉と表情。
「私に子供は作れないんだよ」
「…え?」
仁さんは顔を見られたくないのかわたしの肩に額を乗せて俯く。
「それって、どういう…」
「ない。と、言われた。専門医の口から「貴方には子供を作る力はない」とな…」
「っ、」
「ここまで来たら正直に言おう。瑠璃子と関係を持つよりもずっと昔に本気で結婚を考えていた女性がいたんだ。…彼女はとある大企業の社長令嬢でな。わたしは当時まだただの作家志望のフリーターだった。フリーターのわたしを彼女の父親が良く思うはずもなく、当然のように結婚は猛反対されたよ」
そこまで話すと仁さんは今度はわたしの胸に顔を埋(うず)めてきた。
そんな仁さんの頭をついなでなでしてしまう自分がいて。
だって、きっと苦しいだろうから。