冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
「そんなものは知らなくてもいい」
「やだっ!知りたいです!」
「…じゃあ、千聖は?」
もう少しで白状させられたのに!
「話し逸らさないでくださいっ、」
「逸らしてなどいない。千聖が教えてくれたわたしも教えよう」
「そんなの狡(ずる)っ…!」
言い合えないうちに男のちからであっと言う間に組み敷かれる。
「…教えて?」
「っ、最初は全然好きって気持ちありませんでしたっ。冷たい人だなって思ってたし。でも、一緒に暮らしているうちに仁さんなりの優しさとか気遣いとかが、見えてきて、気付いたら…って感じっ、です!」
目をぎゅっと瞑り、一気に捲(まく)し立てて喋ったから最後の方は息絶え絶えになってしまった。
少ししても仁さんからの反応がなくて、恐々瞑っていた目を少しずつ開けると、そこにはものすごーく複雑そうな顔をしたジンさんが…。
え?なんだろう?わたし何か失礼な事でも言った?
「あの…、仁さん…?」
「…いや、なんでもない」
全然「なんでない」なんて表情じゃないんですけど。
「まぁ、いっか。じゃあ今度こそ仁さんの番ですからねっ」
「…さて、仕事でもしてくるか。正月だからって休んでいて締め切りに間に合わなかったら洒落にならないしな」
わたしからソッと離れ、白々しいことこの上ない態度で仕事場でもある書斎に逃げ込もうって魂胆なの丸出しですからっ!
「このっ…、」