敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
前野さんには何度も体を求められた。

でも私はどうしても許せずにいたのだ。

たぶんそれも前野さんが私を振った一因だと思う。好きでもなくヤれもしない女なんて不要だと、言葉にされなくても捨てられたあの日の彼の態度で伝わってきたから。

仁くんは不思議な生き物にでも遭遇したような顔で私を見ている。

当然ながら私と前野さんに体の関係があると認識していたのだろう。おとな同士が二カ月付き合っていたのだからそう思うのも無理はない。

でも今思えば、仁くんに親同士が勝手に決めた許嫁なんて律儀に守る必要はないと言っていた私も、どこかでそれを意識していたから前野さんを受け入れられなかったのかもしれない。

「だから私、仁くんみたいに手慣れていないの。仁くんが私と本気でする気なのはわかったから、もう少しゆっくりしてほしい」

私なりに努力して、仁くんにお願いをした。

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