敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
「けっこうおなかパンパンになっちゃいましたね。腹ごなしに少し寄り道しましょうか?」

ゴミをまとめてくれながら、咲和さんが振り返った。

「そうですね。どこがいいでしょう?」

「美玖さん、開運スポット的なのはお好きですか?」

「大好きです」

私は目を輝かせた。

「ではチャージングブルを見に行きましょうか」

チャージングブルとは、ダウンタウンのウォール街近くの広場にある、巨大で力強い雄牛の銅像だ。

大きさは約五メートル、重さはなんと三千キロを超えるという。

広場はご利益を求めてやってきた観光客で溢れ返っていた。

雄牛の銅像の隣に並ぶと、咲和さんがスマートフォンで写真を撮ってくれる。

「次は銅像の後ろに回りましょう」

「後ろですか?」

咲和さんに促されて首を傾げたが、そういえば銅像の前よりも後ろのほうが観光客の姿が多い。

「はい。雄牛の睾丸を撫でると幸せになれると言われているんですよ」

「睾丸っ?」

私は思わず大きな声を上げてしまった。

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