敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
時間が経ち、冷静になればなるほど、仁くんはそんな不誠実な人じゃないと強く思う。

雪村さんを疑っているわけじゃないけれど、ふたりの間でなにか行き違いがあったのではないだろうか。

雪村さんは、なにも言わずに彼から離れるべきだと提言したが、私は仁くんの口からきちんと聞きたい。

お風呂を出たら仁くんと向き合おうと思った。

でも寝室に入ると、話を切り出す前にベッドに呼ばれてしまう。

「美玖、おいで」

私はためらいながらも仁くんの手を取った。

ふわりとシーツの上に押し倒され、仁くんは啄むようなキスを繰り返す。

明日からしばらく会えないのだ。本来なら私だってしっかりと彼のぬくもりを感じたかった。

でもその優しい唇で雪村さんに非情な言葉を告げたのかと思うと、背中がぞわっとして彼を拒んでしまう。

「嫌……!」

思いきり顔を背け、したくないと主張した。

体を強張らせ、仁くんが退くのを待つ。

それでもきっと仁くんはやめないだろうと心のどこかで思っていた。

なのに彼はあっさりと身を起こし、私の隣に横たわる。

「したくないなら無理強いしない」

「え……?」

私は呆気に取られてしまう。

自分が突っぱねたにもかかわらず、現実が受け入れられない。

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