年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

耳を澄ませば波の音も聞こえるくらい海に近い露天風呂は、淡いほのかな灯りに照らされて柔らかな湯気が立ち上る。

ゆっくりと身を沈めると、ちょうどいい湯加減に思わず「はあ~」と感嘆のため息が出た。

「いい湯だねぇ~」

「美肌効果もあるお湯だからゆっくりと入るといいよ」

「よく揉みこんでおこう」

「これ以上美肌になってどうするの?」

「潤くんに呆れられないようにしなくちゃね~。……きゃっ」

腕にお湯を掛けながらその滑らかさにうっとりしていると、後から湯船に入ってきた潤くんは私を後ろから抱きしめるようにして首元に唇を這わした。

「ち、ちょっと潤くん」

「色っぽすぎるなぎが悪い」

「これが狼というやつか!」

「これはまだ狼じゃない。狼になってもいいなら遠慮なくなるけど」

大きくて温かい手で頬を包まれ、クイッと横を向かされたと同時に貪るような口付けをされて頭が真っ白になった。

さわさわと肌を撫でる感触がくすぐったいような気持ちいいような、そんな感覚に身がよじれてしまう。

「可愛いね、なぎさ」

耳元に溢される言葉は何倍にも膨れ上がって体の奥をきゅんとさせた。

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