年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
お風呂で体がほてったのか、はたまた違う理由か、色浴衣に着替えた私はテラスで涼みながら風の音を堪能していた。こんな非日常に浸れるのが、旅館の醍醐味なのだろう。
「日本酒を貰ってきたから少し飲もう」
「いいねぇ~」
お揃いのグラスで小さく乾杯をして、今日という日を改めて振り替える。
左手を空に掲げると、月の灯りで指輪がキラキラと音を立てているかのように目も心も潤してくれた。
「潤くん、ありがとね」
「こちらこそ、ありがとう」
「潤くんのこと、幸せにするね」
「……先に言うなよ。すぐ俺の見せ場を持ってく」
少し不満げに呟きながらぐいっとイッキ飲みした潤くんは、こちらを見ると熱っぽい視線に変わる。
その、言葉を紡ぐ唇がとんでもなく色っぽいと思った。
「なぎ、愛してるよ」
「うん、私も」
自然と近づく距離感にときめきを覚えつつ、これからの未来に希望と喜びをもたらすような甘い口付けは飽きることなく何度も繰り返されたのだった。