年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
広くてふかふかのベッドに一緒に入って眠ったはずなのに、朝目を覚ますと部屋にはもう潤くんの姿はなかった。

昨晩のことは夢だったのかと一瞬思うも、左手には変わらずキラキラと輝く指輪がある。

「あ、そうか。今日は早番だって言ってた」

起き抜けのまだぼんやりする頭を起こしながら身支度を整えて、朝食の時間に指定されたレストランへ赴いた。

ゆったりとしたBGMが夢心地気分を途切れさせず、日本ならではの和食のにおいがほんのりと香るその空間は、眠っていた食欲を刺激させるには十分すぎる。

「おはようございます、大野様。お席にご案内致します」

こちらからスタッフさんに声を掛ける前に目ざとく見つけられ、丁寧に案内されるのがまた特別感があって気分がいい。席に着くと「少々お待ちください」と言付けされ、まもなく作務衣を羽織った潤くんがやってきた。

「おはよう、なぎ」

「おはよう潤くん、こんな朝早くから働いてるの?」

「今日は早番だからね。一緒にいられなくてごめん。よく眠れた?」

「うん。ぐっすり。あのお布団は魔物だね。気持ち良すぎて全然起きれる気しなかった。潤くんこそ、ちゃんと寝れた?」

「特別室に泊まったおかげでいつもより長く寝れたよ」

会話しながらも、潤くんはてきぱきと私の目の前に朝食を準備していく。
焼き物の器に少しずつ盛られたおかずは美味しそうはもとより確実にこちらの目を楽しませてくれ、いつまででも眺めていられそうなほどだ。
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