隣の不器用王子のご飯係はじめました
……この漫画の“ヒロキ”が“アカリ”に向けている感情は、俺が小野山さんに向けているものにそっくりだった。
別に、小野山さんとどうこうなるだとか、気持ちを伝えようだとかいう気があるわけではない。
それでも俺は確かに、以前から彼女に対して、他の女子には決してないような特別な感情を抱いていた。
他人と上手く話せないはずの俺が話すことができる珍しい相手だからなのか、美味しい料理に胃袋をつかまれたのか、無邪気な笑顔が可愛かったからなのか……。
惹かれた理由はいくらでも思い当るが、逆にこれといった決め手はない。
それでも……彼女のことをいつの間にか学校にいるときも目で追うようになっていたし、
彼女が杉野のことを褒めた時にはどうしようもないほど腹が立ったし、
体育祭で怪我をしたときは心配で仕方なかった。
「姉さん、この漫画は絶対に小野山さんに見せたらだめだから」