聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました

「玲奈ちゃん？」

　航平の呼びかけで玲奈ははっと我に返る。彼は気まずそうに曖昧な笑みを浮かべていた。

「もしかして、子どもは苦手だったりする？」

　嘘をついても仕方ないと玲奈が小さくうなずくと、航平はあきらかに落胆した声をあげる。

「そっかぁ～」

　彼の表情がみるみるうちに曇っていく。

　お互いに目の前の相手が運命の人ではないことを悟った瞬間だった。『自立した夫婦関係が理想』だと語った彼は、自分と同じように子どもを望んでいないものと玲奈は思いこんでいた。同じように、女性はみな子どもを望むものだと彼は思っていたのだろう。

（運命の人どころか、恋ですらなかった）

　その証拠に、玲奈のなかにあった彼への気持ちは急速にしぼんでいった。あまりにもあっけない結末にむなしさがつのる。

　結婚はしたいが、子どもは望まない。そんな自分を受け入れてくれと言うのはやはり難しい話なのだろう。玲奈はあらためて痛感した。