聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
 ぱっと開けた視界に飛びこんできたのは、見慣れた天井に向かって伸ばされた自分自身の手だった。玲奈は目をまたたいて、状況把握につとめた。見慣れたものは天井だけではない。ワンルームの小さなキッチンもナチュラルな木目調の家具も、出窓に飾ったモンステラも、ここは間違いなく玲奈の私室だ。玲奈はゆっくりと上半身を起こす。

(夢! なんて夢を見てるんだろう。欲求不満なのかな)

 いくらずっと恋人がいないからって、こんなあられもない夢を見るとは……誰もいないのに玲奈は恥ずかしさに頬を染めた。と同時に、とんでもない頭痛が玲奈を襲う。ガンガンとハンマーで殴られ続けているような痛みだ。胃のあたりにもムカムカとした違和感がある。典型的な二日酔いの症状だった。

(そうだった。昨夜は強い日本酒を飲んで……)

 登坂を見送ったところまでは覚えている。そこまでは意地で正気を保っていたのだ。だが、そこからあとはなにも思い出せなかった。

(どうやって帰ってきたんだっけ? 電車に乗った?)

 玲奈は記憶をたどろうとするが、頭痛が邪魔をする。玲奈は細く息を吐くと、ベッドから滑りおりる。視線を自身に向けてみると、きちんとパジャマに着替えているし肌のべたつきもないからシャワーも浴びたのだろう。

(まぁ、いいか。覚えてないだけで、案外普通だったのかも)
< 33 / 111 >

この作品をシェア

pagetop