聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「わぁっ」

 色っぽいシーンを台無しにする大きな声をあげて、玲奈は思わず両手で顔を覆った。叫び出したくなる衝動をなんとかこらえている。穴があったら入りたい、なんてかわいいレベルではない。穴にこもって一生を終えたい気分だ。

 十弥はむきだしになった玲奈の肩にパジャマをかけてやると、身体を起こして彼女の横に座った。

「ようやく思い出したか」

 彼の顔はとても見られないが、ふっと笑ったのを気配で感じた。玲奈も身体を起こして正座すると、断罪される咎人のような気持ちで重い口を開く。

「はい……本当に申し訳ありませんでした」

 あの夜の原因を作ったのは間違いなく玲奈だった。それは認めざるを得ない。

「謝ってもらう必要はないが、俺も謝らない。あの状況で断れるほど俺は紳士じゃない」
「謝ってもらおうだなんて思っていません」

 玲奈は慌てて首を横に振る。そもそもの話として、彼は別に玲奈を欲してなどいなかっただろう。彼が女性に不自由しているとは思えない。

「それより、一番肝心なところを忘れていないか?」

 十弥は玲奈の頬に手をそえ、ぐいと自分のほうを向かせる。

「君は俺に求婚し、俺はイエスと答えた」

 はっきりと言葉にされると、恥ずかしくて死にたくなる。和泉グループの御曹司にプロポーズするなんて、いくら酔っていたとはいえ狂気に近いものがある。
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