聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
 初めて胸に抱く我が子は、あまりにも軽くて、手を滑らせたらどうしようとドキドキが止まらなかった。小さな手が玲奈の小指をぎゅっと握る、そのぬくもりに玲奈は声をつまらせた。ぽろりと涙がこぼれる。

「かわいい」

(よかった……私、ちゃんとうれしいって感じてる)

 うれしい、幸せ。そう思えたことに玲奈は心の底から安堵した。

「おつかれさま。玲奈、本当にありがとう」

 そう言った十弥の目にもうっすらと涙がにじんでいた。彼は陣痛開始からずっと付き添っていてくれた。

「名前、どうしようか?」

 十弥が言う。娘の名前の候補は三つに絞ってあり、最終決定は顔を見て決めることにしていたのだ。玲奈は腕のなかの娘の顔を見つめて、小さくつぶやく。

「あかり、がいいな」

 自らが輝き、暗闇を照らす存在に。そんな願いをこめた名前だった。対面して、最初に浮かんだのがこの名前だった。十弥は娘のおでこを指先でそっと撫でる。

「うん、いい名前だ。あかり、俺たちのところに来てくれてありがとう」
「ほら。十弥も抱っこしてみて」

 玲奈は慎重な手つきであかりを十弥に渡す。彼の腕に引き取られた瞬間に、あかりは「ふぇ」と小さく泣いた。

「わっ。え~と、抱き方がダメなのか。玲奈、俺のどこが間違えてるんだ?」
「え~、私だってまだ全然わからないよ」
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