天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「……どうした?」
「大事な話がある。入れてくれるか? 病院では言いづらいことだから」
いつも柔和な表情をしている聡悟の眉間に、深い皺が刻まれている。いったいなんの話だというのだろう。
まったく想像がつかないながら、聡悟を部屋に招き入れ、コーヒーを出した。
聡悟をソファに座らせ、俺は立ったままカップに口をつける。そして聡悟が話しだすのを待っていると、聡悟はコーヒーを無視したまま真剣な面持ちで俺を見た。
「絢美が妊娠した」
「えっ?」
絢美が、妊娠……? 俺は言葉を失い、呆然とした。
聡悟との子? いや、だとしたら、どうして聡悟はこんなに深刻そうにしているんだ?
喜んで父親になり、彼女と結婚すればいいだろう。そうできないのは、まさか……。
「俺の子……?」
自然と頭に浮かんだ可能性を口にすると、聡悟は否定も肯定もせず、一度コーヒーを口に含む。
そしてふうと息をつき、頼りなく眉尻を下げて苦笑した。
「それが、わからないんだよ」
「わからないって……そんな馬鹿な」
「お前が強引に絢美に迫ったのが、彼女の誕生日。僕はその二日後に、彼女を抱いたんだ。『私の中から勇悟を消して――』そう、泣いて懇願しながら、絢美は自ら服を脱いだ」