天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
生々しい聡悟の話に、思わず胸がかき乱される。絢美にそんな真似をさせてしまったのは、紛れもなく自分自身。
自分の犯した罪の重さに、胸が潰れそうになる。
「それでも普通ならDNA鑑定をすれば判断がつくはずだが、僕たちは一卵性双生児だから、それも無理だ。今となっては、もうどちらが父親かわからないんだよ」
……そういうことだったのか。
話は理解できたが、心が追い付かない。しかし、一番不安なのは絢美だろう。
もう、会いづらいなどと言っている場合ではない、彼女ときちんと話がしたい。
「聡悟、絢美に会うことを許してもらえないか? 傷つけるようなことはしないと約束する」
「いや、その必要はない」
聡悟はそれだけ言うと、スッと立ち上がって傍らに畳んでいたコートを羽織った。
「彼女が身ごもっているのが僕たちどちらの子であろうと、僕が父親になる。そう絢美に誓ったんだ。お互いの両親に妊娠を明かす時も、もちろん僕の子だと言う。今日ここへ来たのは、お前に口止めするためだ。周囲に『俺の子かもしれない』なんて余計なことを言いふらさないでもらいたいからね」
ぞくりとするほど冷たい口調でそう言われ、思わず聡悟に詰め寄る。