天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「本当の悪者は先生なのにね」
「うん? どこが?」
「だって、本当は絢美さんとエッチしてないのに、赤ちゃんの父親になろうとするなんて」
体を密着させたまま、甘い声で話し続けるふたり。クスクスと漏れてくる忍び笑いに、俺は愕然とした。
聡悟は、絢美を抱いていない……? 本当なのか? しかし、なぜそんなウソを……。
「昔から気に食わないんだよ、僕の持っていないものをすべて手にしている勇悟が。今だって、オペの腕を買われて医局で鼻高々だ。長年父と一緒に病院を守ってきたのは僕だっていうのに」
「双子ゆえのコンプレックス?」
「そうかもしれないね。……だから、一番大切なものを奪って、あいつに勝ちたいんだ」
聡悟の声音が、暗い憎しみを帯びる。
……俺は、そんな風に思われていたのか。俺だって、自分にないものを持つお前に複雑な思いはある。それでも、理不尽に傷つけてやりたいとおもったことはない。
まして、関係のない絢美を巻き込んでまでなんて。……許せない。