天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「な、なんか懐かしいな」
動揺を悟られぬよう、ゆっくり部屋の中を歩きながら、インテリアを眺める。そのうち、壁にハガキや写真の飾られているコルクボードを見つけ、興味本位で近づいた。
「あ……」
その中に、自分が映っている写真まで貼られているのが目に留まる。私が部屋に飾っているのと同じ、初対面の遊園地で三人一緒に写っている写真だ。前に来た時は気づかなかった。
「お前、この頃はちびのガキだったのにな」
不意にすぐそばから勇悟の声がして、びくっと肩が震えた。勇悟も同じ写真を懐かしそうに見つめていて、私は照れくささをごまかすように口を開く。
「そりゃ、子どものままなわけないでしょ。あと一週間で三十になるんだよ?」
冗談めかして笑う私を、勇悟は真剣な目でじっと見下ろす。
「な、なに?」
急に黙られると、自分の心臓の音ばかりがうるさくて、ますます気まずい。
早くなにか言って。心の中で必死にそう祈っていると、勇悟が思いだしたように口を開く。