天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
一方聡悟の方は絢美と連絡を取っているようで、なぜか時々俺も食事に誘われた。
好き合っているカップルなんだから、ふたりだけで会えばいいのに。建前のようにそう思いつつも、気が付けばいつも『行く』と聡悟に伝えていた。
ふたりを避けるほど子どもじゃなくなったというのもあるが、単に絢美の顔が見たかったのだ。
彼女と聡悟が俺の知らない話で盛り上がっている時にはつらいものがあったが、どんどん大人の女性に近づいて美しさを増す絢美に、逆にまだまだ子どもっぽい仕草や言葉遣いをする無邪気な絢美に、俺の心は惹かれていくのを止められなかった。
そしてとうとう、俺の感情が爆発する日が訪れる。俺が医学部四年生、絢美は高校三年生のバレンタイン。
俺は次年度の臨床実習に向けての共用試験に無事合格しており、進級が確定していたのでひとまず安心していた頃である。
『勇悟、絢美ちゃんが来ているわよ』
夕方、自室で勉強をしていると、母が俺の部屋にやってきた。
『えっ? 聡悟ならまだ大学に残ってるぞ』
『違うわよ。あなたに用だって』
じれったそうに言った母が部屋を出ていくと、入れ替わるように絢美が顔をのぞかせた。
学校帰りにそのまま来たらしく制服姿で、首に巻いたマフラーに口元を埋めている。