天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
『ごめんね、急に来て』
『別にいいけど……とりあえず座ったら?』
聡悟を含めた三人で会うことはあっても、自分の部屋でふたりきりになるというのは初めてのシチュエーション。
体中を巡る血液の温度が一気に上がっていくような感覚にどぎまぎしつつも、顔には出さず絢美に対応する。
絢美はベッドのふちにちょこんと腰を下ろし、膝の上にのせたスクールバッグのファスナーを開ける。そこから、リボンでラッピングされたハート形の箱を取り出した。
ああ……そういや、今日はバレンタインだったか。おおかた聡悟に渡しておいてくれとか、そんな話なんだろう。
自分で直接渡せと思わなくもないが、聡悟もなにかと忙しいヤツだから、タイミングが合わなかったのかもしれない。
椅子に座ったまま体を絢美の方に向け、ぼんやりそんなこと考えていると、箱を手にした彼女がベッドから腰を上げ、緊張の面持ちで近づいてくる。そして、両手で俺の前にスッと箱を差し出した。
『あのね、これ……作ったの、チョコ。バレンタインだから』
『ああ、わかった。ちゃんと今日中に聡悟に渡しておく』
『そうじゃなくて! ……勇悟に受け取ってほしいの』