天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
俺に? よく意味が理解できず、怪訝な眼差しを彼女に向ける。絢美はマフラーに半分顔を隠しつつも頬を真っ赤に染めて、俺が箱を受け取るのを待っていた。
そのけなげな様子に思わず『ありがとう』と受け取りそうになったが、待てよ、と思う。
なんだか前にも似たようなことがあった。高校を卒業した日、絢美から手作りのキーケースをもらった時だ。俺は自分だけへのプレゼントかと一瞬勘違いして喜び、絢美を困らせてしまったのだ。
きっとこれも、俺に受け取ってほしい理由は、単にこのチョコが〝聡悟の弟のための義理チョコ〟だからだ。聡悟の分は別にあるのだろう。
そう納得するのと同時に、目の前の絢美にいいようのない苛立ちを覚える。
聡悟が好きなら聡悟だけ見ていればいいのに、義理チョコを渡すためにわざわざ部屋までやってきて、俺を弄んで、そんなにおもしろいか?
思考は完全に冷静さを失い、俺は暴走した。チョコの箱を無視して絢美の手首をぐっと掴んで引き寄せると、もう一方の手で彼女の後頭部を引き寄せ、唇を重ねた。
絢美の手からチョコレートの箱が滑り落ち、畳の上に転がる。