天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
俺は現実から目を背けるように医学の世界に没頭し、経験を積むにつれ任せてもらえるオペが増えてきた。
と、同時に、もっと色々な症例を診たい、オペを経験したいという思いが強くなり、ずっと目指してきた心臓血管外科医の専門医認定を無事に取得したら、海外へ留学しようと決めた。
大学の恩師や父親にも協力してもらい、あらゆる国の研修先を探した結果、トロントの大学病院が俺を受け入れてくれることに決まった。
出発前日には絢美と聡悟が壮行会を開いてくれ、三人で過ごす最後の時間を噛みしめた。
物理的に距離が離れれば、毎日オペのことばかり考えていれば、自然と絢美のことは忘れられるさ。
前向きにそう思いながらも、明日からは見られなくなる彼女の表情の一つひとつを胸に焼きつける。
そしてあまり名残惜しくなる前にと、俺は絢美が酔い潰れた隙に、ひとり先に帰ったのだった。
* * *
それから三年半以上が経った。絢美とはいっさい連絡を取っていないが、結局、彼女のことを忘れられた日は一日もない。
気の合う女性の同僚やナースと交際してみたこともあるが、結局自分をすべてさらけ出せるような相手は見つからず、自分から別れを切り出すパターンばかり。